2019年4月23日よりクリムト没100年を記念して東京、愛知で『クリムト ウィーンと日本1900』特別展覧会月開催されます。日本でも人気の高いクリムトですが、更にクリムトブームが起こる事かと思います。そこでひとつづつベルべデーレ宮殿に展示されているクリムトの作品をご紹介したいと思います。
今回は『ソーニャ クニップス婦人』の肖像画です
ソーニャ クニップス婦人とは
1873年12月2日ベルキー系貴族の家庭で生まれます。貴族と言っても財政は思わしくなく、彼女は職を得るために学ばなくてはなりませんでした。実業家のクニップスとの結婚も『伝統ある血筋との縁談』を望むクニップス一家の要望を受けいれたようで結婚生活は決して幸せとは言えませんでした。
実際、クニップス氏は仕事人間でソーニャが若いモダン芸術家に興味を示している事にも本人はさほどの関心はなかったようですが、ソーニャの意志は尊重していたので、芸術への情熱は認めていました。
その後、ソーニャはウィーン工房活動に参加し重要な人物となります。特に建築家のヨーゼフ ホフマンと親交が深くなり、ホフマンは夫婦の家の改築、ケルンテン州やウィーン郊外でソーニャの好みに合わせたカントリー風の別荘クニップス家のお墓まで構築します。
クリムトへ肖像画依頼をしたには理由があった!
裕福な男性と結婚したにも関わらず、ソーニャ クニップス婦人はうつ病と病気を繰り返し入院をします。彼女の健康を取り戻すために、クニップス氏は当時、若い世紀末画家のクリムトに肖像画の依頼をします。クリムトは約一年かけてこの絵を描きました。
普通、肖像画ですと人物は真ん中に描かれるのに、あえて右寄りに描かれているのが特徴的です。ベビーピンクのドレスの色は高貴で華やかさ、女性らしさを表現するためにクリムト自身が選びました。顔は緊張していませんが鋭い目からは彼女の知的さが見られ、ドレスとは対照的に男性的にも感じます。肖像画というよりは、今まさに立ち上がろうと考えているその一瞬をカメラがとらえたように見えますね。
赤い本と顔の上にある花の赤の線状に顔を描く事で、この絵画を見る人がソーニャの顔に目線がいくようになっている画風はクリムトらしい面白いアイディアです。
この肖像画はウィーンデープリングにある別荘のダイニングルームに飾られていました。
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