こちらもご参照ください 舞踏会シーズン2020年がやってきました!
ウィーン舞踏会の頂点である『国立オペラ座舞踏会』
2020年は2月20日に開催され、オペラ座舞踏会で初めてデビュタントで同性(女性)カップルが踊ります。また、国立オペラ座ディレクタードミニク マイヤー氏Dominique Meyerはシーズンを最後にミラノスカラ座に赴任が決定し、オペラ座舞踏会オルガナイザーであるマリア グロスバウアーさんMaria Großbauerも4年の任務期間を終え今年、退任することになりました。
今回のテーマはモーツアルトの魔笛から『夜の女王』です。マイヤー氏とグロスバウアーさんはゲストやテレビの前で舞踏会を観ている人々を星に輝く夜の女王の世界へ導いてくれる沢山の仕掛けをしています。デビュタントのブーケ、オープニングの序曲、会場など工夫を凝らしているようです。今からとても楽しみですね。
今回は2020年オペラ座舞踏会の魅力について書いてみたいと思います。
もくじ
オープニングはウィーンオペラ座の声と言われるアイダ・ガリフッリーナ
第64回国立オペラ座舞踏会のオープニングで美しい歌声を聞かせてくれるのは今、ウィーン国立オペラ座の声と言われているアイダ・ガリフッリーナAIDA GARIFULLINAとテノールのスーパースターピヨートル・ベチャワPiotr Beczalaです。
一曲目は第二のアンナネトレプコと言われるアイダ・ガリフッリーナによるベルディーオペラ椿姫より『Sempre libera』(ああ,そはかの人か)。ソプラノ歌手聴かせどころ満載である力強い難曲です。彼女の繊細な歌声と美貌は現在オペラファンから注目されています。舞踏会ではどのようなヴィオレッタを表現して歌ってくれるか楽しみですね。
こちらの動画は2015年の国立舞踏会で歌っている様子です。
2020年国立オペラ座舞踏会 演奏予定曲目
1曲目 アイダ・ガリフッリーナ ああ,そはかの人か オペラ 椿姫より Sempre libera aus “Traviata”
2曲目 ピヨートル・ベチャワ 星は光りぬ オペラ トスカより E lucevan le stelle” aus “Tosca”
3曲目 デュエット 踊りたい オペレッタ チャルダッシュの女王より Tanzen möcht” ich” aus “Die Csardasfürstin”
2020年デビュタントのティアラデザインは『クリスチャン ラクロア』
デビュタントとは『社交界デビュー』の意味で、良家の女性のお披露目パーティでしたが、お見合いの意味もあったようです。現在はダンス教室に通っている17歳~23歳までの男女がオーディションによって選出されます。服装は男性は黒の燕尾服に白に手袋、女性は白のイヴニングドレスに肘上までくる白い手袋を着用します。
デビュタントに参加する女性は皆若々しくとても綺麗で、男性もスマートで貴公子に見えます。オペラ座舞踏会でのデビューは彼らにとっては選ばれた人であり、その誇りが更に美しいオーラを放つようでしょうか。
洋服は各自で用意しますが、ティアラはオペラ座がプレゼントしてくれ、毎年違ったデザインをオーストリアが誇るクリスタルの老舗スバロフスキー社にて制作されます。
今年のティアラはフランス出身のクリスチャン ラクロア氏によって製作されました。彼はテーマ『夜の女王』のもつ星の輝きと魔笛の神秘的なオペラからインスピレーションを受けたそうです。72個のスバロフスキーのクリスタルをちりばめたティアラをつけたデビュタントの女性たちががダンスを踊りながら、ダイナミックで神秘的な星座を作り出してほしい!とラクロア氏は言っています。
星のように輝くティアラを付けたデビュタントの女性は皆さん神秘的でいて危険な香りがする夜の女王に変身するのです。ティアラの完成を見たグロスバウアーさんは非常に満足をしてコメントしています。
デビュタントに初めて同性カップルが参加!
ウィーン国立オペラ座舞踏会で初めてドイツから同性女性カップルがデビュタントに参加します。彼女たちは同性愛カップルにも平等の権利の機会を与えて欲しいと応募しました。舞踏会ディレクターのグロスバウアーさんは『今はもう19世紀ではないのです』との考えで参加を許可しました。
デビュタントでは伝統により女性は白いドレス、男性は黒の燕尾服を着用します。彼女達はその伝統通りの衣装を着用して参加します。
デビュタントによる新しい試みはそれだけではありません。彼らはヨハン・シュトラウスのポルカに合わせて初めて一緒に合唱を歌います。
夜の女王を彷彿させる神秘的な会場のアレンジ
輝いているのはティアラだけではありません。会場には15000個のランプで出来た光のチェーンで飾られたボックスは空に輝く星空の印象を与えます。
また、花のアレンジメントは夜の女王の『暗く、ミステリーかつ美しい』ナイトガーデンへ導くかのように、花々は紫と濃い紫で統一しています。
主催者によって作られた『神秘的なバー』ーがあり、場所は明確にしていません。例え見つけたとしてもドアのカギは締まっています。開けるためには秘密のコードが必要です。今年はベートーヴェン生誕250周年からインスピレーションをもらい、設けたようです。
『ヒントは非常に簡単です。オペラに関係しています』とグロスバウアーさんは言っています。
国立オペラ座舞踏会とは
「オペラ座舞踏会(オーパンバル)」とはオーストリア共和国の大統領の主催で、年に一度ウィーン国立オペラ座で開催される舞踏会です。舞踏会の中でも格式が高く、毎年世界的に有名な著名人、スターも招待されて参加しています
その始まりはウィーン会議(1814-1815)からと言われていますが、その時はまだ国立オペラ座は建築されていません。会議にはナポレオン戦争に参加した各国の政府関係者が会議は進まずに宮廷劇場で舞踏会を開催したところから来ているようです。
1877年にその当時の皇帝フランツ ヨーゼフがオペラ座の一部で舞踏会のセレモニーを行いました。その後ハプスブルクは崩壊しますが、当時の華やかな帝国時代を懐かしむ行事として1922年に再び国立オペラ座が開催されます。舞踏会か正式にオペラ座舞踏会と言われるのは1935年からです。
正面玄関が毎年オーストリアの国旗の色で装飾されます。
会場はヨーロッパ中の花約8万本で豪華に飾られ、踊るスペースとして、平土間客席を取り外し、舞台と同じ高さに設定します。
オープニングのファンファーレ、国家が流れた後、社交界デビューをするデビュタントたちが入場してきます。次にバレエ、オペラ歌手を披露してくれます。
それが終わると、デビュタントがダンスを披露します。大人への仲間入りをする初々しさがとても素敵です。最後にヨハンシュトラウスの「美しき青きドナウ」の曲が流れ、「ALLES WALZER」(さぁ みんなで踊ろう!)のかけ声とともに、今まで見ていた他の参加者も混じって、いっせいに踊り始め、朝の5時まで宴が続きます。
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