クリムト最晩年の肖像画「扇を持つ婦人」が136億円で落札❗️

ベルべデーレ宮殿 

写真引用 ORF

本日は衝撃的なニュースが飛び込んできました。クリムト最晩年の作品「扇を持つ婦人」が27日、ロンドンで競売商サザビーズのオークションに掛けられ、7400万ポンド(約135億9000万円)で落札されたとの事。落札したのは香港を拠点にするコレクター会社です。

2021年3月25日より約1年間、ベルベデーレ宮殿にて100年ぶりにウィーンで展示され、私も幾度とお客様にご案内をさせていただきまし,個人的にも何度も鑑賞に行った絵画です。

クリムトの有名な肖像画はほとんど貴婦人の注文により描かれていますが、この「扇を持った婦人」は、ウィーンの無名な踊り子を描いています。

おそらく1917年に制作に取り掛かり、いくつかの細かい部分以外は、ほとんど完成していて、13区にあるクリムトのアトリエで発見されました。上記の写真に見えるもう一枚はベルベデーレ宮殿で展示されている「花嫁」です。「扇を持った婦人」は、誰からも注文を受けずに、クリムトはモデルの一人である踊り子を通じて、自身の理想女性を描いているとも言われています。

2枚の絵画が場所を変え、100年以上ぶりに並ぶベルベデーレ宮殿展示会の様子。

19世紀半ばよりジャポイズムが西洋で流行し、影響を受けた画家たちは扇をモチーフに描いた絵画が多くみられます。その中でもゴッホの女性が着物を着て、扇を持つ絵画が日本でも有名ですね。(扇はかつて日本のイメージ😊)

 

クリムトもジャポニズムに影響を受け、日本の美術品を多く集めており、日本美術の技法を真似たり、浮世絵を思わせる構図などを取り入れた作品も多くあります。「扇を持つ婦人」には日本を象徴する扇だけでなく、背景の鳥、花からわかるように中国や他の東アジアのモチーフを取り入れています。髪をアップにした婦人は中国の着物を来ていますね。肩と胸を扇で隠した女性は(チラリと見えてはいますけど)堂々としており、じっと正面の何かを見つめています。

 

ウィーンで展示されたのが100年前の1920年のたった一度だけでした。その後1960年までスイスのハインリヒ・ペーラー家が所有、1981年まではルドルフ・レオポルド氏のコレクションでした。1994年に一度オークションにかけられ、当時の最高額1167万ドルで落札されておりますが、今回のお値段は比較にならないほど高価な絵画となりました。

「いつ再び扇を持った婦人の真の絵画を鑑賞する機会が訪れるでしょうか」そう思いながら、ニュースに耳を傾けていました。

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