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『ベートーヴェンの神話』特別展示会場カイザーハウス バーデン

2020/03/13
 

ウィーンから南へ約26キロメートルにある『バーデン』Badenの街で、ベートーヴェンが何度も滞在をし、第九交響曲の大部分を作曲した家が現在『ベートーヴェンハウス』博物館になっている記事を少し前に掲載しました。
ベートーヴェンハウス バーデン『第九交響曲』を作曲した家

その『ベートーヴェンハウス』から歩いて2分の所にある市庁舎広場に、かつてハプスブルク家の夏の離宮カイザーハウスがあります。そこでベートーヴェン生誕250周年を記念して、ベートーヴェンの特別展『ルードヴィヒファンの神話』(MYTHOS LUDWIG VAN)が2020年12月20日まで開催されています。

こちらの特別展ではミステリアスなベートーヴェンの神話がテーマです。作曲家としての展示物の他、音楽家でなく、人間らしいベートーヴェンの一面が垣間見れる展示物があります。ベートーヴェンを良く知る人は、マニアックな視点から、知らない人でも音楽を聴けるブースなどがあり、楽しめるように工夫されています。

ここで最も注目されている展示物は、通常、ベートーヴェンハウスに展示されている、ベートーヴェンが実際に弾いたハンマークラヴィアがカイザーハウスに置かれ、特別展が開催されている期間、コンサートが開催されています。

今回はカイザーハウスで開催されている『ルードヴィヒファンの神話』(MYTHOS LUDWIG VAN)の興味深い展示物をご案内したいと思います。

ベートーヴェンは銀行の大株主だった!

博物館に入ると、最初の部屋は彼が亡くなった時の資料、当時の様子が展示されてます。そこに1819年ベートーヴェンが取得したオーストリアナショナル銀行株の証券(ファクシミリ)があります。

ベートーヴェンが過ごした時期のウィーンは、ナポレオン戦争による経済的、政治的に困難な状況でした。特に1811年、戦争資金調達のために起こったインフレ問題(ハイパーインフレ)は国の経済を破綻させたため、フリーライセンス音楽家だったベートーヴェンは不況の不安から、お金に大きな関心を持つようになりました。

ここはモーツアルトと大きく違うところですね。下の写真がベートーヴェンが取得したオーストリアナショナル銀行株の証券(ファクシミリ)です。ベートーヴェンはは8株所有していました。

この株を資本として株の一部を売買したり、年に二回の配当金及び銀行の利益から、年に一度特別配当金を受け取っています。ベートーヴェンは銀行の大株主だったのです!その他、コンサートの開催、出版費、レッスン代、スポンサーからの収入があり、亡くなった時、10.232グルデン(約1,748万)の遺産を残しています。

ベートーヴェンは衣類に関心がなかった反面、高価なワインやグルメにお金を使うこともありしました。しかし、生活スタイル全体は贅沢ではなかったようです。晩年は病気の治療費と甥のカールに多額の金額が必要でしたが、当時のウィーン上位5パーセントに入る資産を残したことは脱帽です!
本物の証券はオーストリアナショナルバンク博物館に保管、展示されていますオーストリアナショナルバンク

ベートーヴェンの頭蓋骨から分かったこと!

有名人過ぎると、不運にも墓あらしに見舞われ、遺体や骨を盗まれる事件がありますが、ベートーヴェンの頭蓋骨の一部も盗まれており、長い間所在が分かっていませんでした。この骨は1990年にアメリカで発見されています。

カリフォルニア州のポール・カウフマンが、自宅の屋根裏で亜鉛製の箱を発見しました。その箱には長さ8センチの頭蓋骨の一部と小さな破片が入っており『ベートーヴェン』と書かれていました。

亡くなって36年後の1863年、偉大な作曲家ベートーヴェンの骨の腐敗を防ぐために、メタル製の棺に入れようと計画され、同時に骨を調べようと墓を掘り起しました。骨の研究にはウィーン大学の医師であったカウフマンの曽祖父の兄、ロメオ、セリグマンが立ち会っていました。その時に骨の一部を持ち出した可能性があるとみたカウフマンは、カリフォルニア州にある大学の研究者に引き渡し、本当にベートーベンのものであるか調査を依頼しました。

髪の毛のDNA検査と照合した結果、ベートーヴェンの頭蓋骨の一部だということが証明されたわけです。頭蓋骨からは髪と同様に鉛含有量も発見され、重度の鉛中毒であった事も分かりました。

当時のワインは酸味を隠すために、鉛が含まれていたのですが、ベートーヴェンはワイン好きだったので、長年、腹痛、関節痛、難聴の病気の原因がワインだった可能性があります。

さて、ベートーヴェンの遺髪はベートーヴェン博物館など、いたるところで見られますが、ベートーヴェンが亡くなった知らせを聞いて訪れた弔問客が、髪の毛を剃刀で次々とそり落として持ち去ったようで、棺に安置されたときは、豊かな巻き毛は散切り状態であまり残っていませんでした。

因みに1863年ベートーヴェンの墓を掘り起こしたときには、既に歯6本、頭頂骨の一部、左膝骨、あばら骨数本が欠落していたようです。

亡くなった時に住んでいたアパートの窓、ドア、ドアノブなどまで取り外され、現在はウィーン市内の博物館にも展示されています。生前から偉大な音楽家として名声があった証拠でしょうね。

写真 ベートーヴェンが亡くなったアパート

ベートーヴェンが実際に弾いたハンマークラヴィア

カイザーハウスの展示物で最も注目されているのは、ベートーヴェンが実際に弾いた事があるハンマークラヴィアではないでしょうか。2019年より生誕250周年に向けて修復が行われ、2019年11月に見事、当時のままの音色を再現してくれました。それまでは演奏する状態ではなかったため、ベートーヴェンハウス博物館では、演奏される事なく、そのまま展示されていました。

今回のプロジェクトでは、以前の音色を再現するべく工夫がされ、その当時の材料、もしくはその当時と同じ材料を時間をかけて探して見事、修復に成功しました。下の動画はその様子のドキュメンテーションです。また修復後、2019年11月、最初のハンマークラヴィアソロ、アンサンブルコンサートの様子も一部見ることが出来ます。

ここでは月に一度、コンサートが開催されています。コンサートプログラム

音楽を楽しむリスニングルーム

写真のリスニングボックス一つ一つに、ベートーヴェンの曲に関する質問が書いてあります。例えば、ベートーヴェンの曲の中で一番短いものは?最後に作曲した弦楽四重奏曲は?最も技術的に難しいテクニックが必要なピアノ曲は?ベートーヴェンの交響曲で一番有名な作品は?などです。

中に入ると、椅子が設置されていて答えの作品をヘットフォンを通じて聴くことが出来ます。

ルードヴィヒファンの神話』(MYTHOS LUDWIG VAN)は今年限りの特別展示ですので、ベートーヴェンハウスと並行して見られる事をお勧めいたします。

ベートーヴェンに関する記事です。こちらもご参照ください

ベートーヴェンの遺書の家「Haus des Heiligenstädter Testaments」
最初のベートーヴェンとシューベルトの墓地『シューベルトパーク』
ベートヴェンフリースとクリムトとベートヴェン!

ルードヴィヒファンの神話』(MYTHOS LUDWIG VAN)

開園日 時間
火曜日から日曜日までと祝日:10:00 –18:00

料金
大人:€ 6,–
10人以上のグループと高齢者:€ 4,–
割引料金:€ 3,–
(児童6 –15歳、高校生、大学生)ベートーヴェンハウスとコンビチケット
大人:€ 10,–
10人以上のグループと高齢者:€ 7,–
割引料金:€ 5,–
(児童6 –15歳、高校生 大学生)

毎月第1土曜日、午前10時30分から正午まで。5〜10歳の子供向け!
入場とガイド付きツアー:5ユーロ
日程:1月4日/ 2月1日/ 3月7日/ 4月4日/ 5月2日/ 6月6日/ 7月4日/ 8月1日/ 9月5日/ 10月3日/ 11月7日
予約が必要です:02252 86800/577またはshop.kaiserhaus@baden.gv.at

アクセス
★バーデン電車:ウィーン国立歌劇場前から終点のバーデン・ヨーゼフ広場まで。徒歩3分。
★列車と電車:国鉄バーデン駅から徒歩9分。
★車:高速道路A2 出口バーデン市内中央方面15分。
ローマ温泉とカジノに駐車場あり。

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