ベートーヴェンの散歩道(ベートーヴェンガング)

ベートーヴェン

ベートーヴェンハウス(旧ベートーヴェンハイリゲンシュタットの遺書の家)から歩いて10分、カーレンベルクの麓シュライバーバッハの小川に沿って、ベートーヴェンのお気に入りの散歩道、通称『ベートーヴェンガング』(ベートーヴェンの散歩道)があります。

現在は片側が住宅街になっておりますが、ベートーヴェンが生きていた時代、ここは温泉保養地であり、のどかなブドウ畑が一面に見えたことでしょう(現在も住宅の後ろには、カーレンベルク山の斜面にあるブドウ畑が見えます)

天気の良い日は毎日、ベートーヴェンはこの小路を散歩して、交響曲第6番田園の2楽章「小川のほとりの情景」の構想を練りました。題名の小川は、このシュライバーバッハが舞台です。難聴で苦しみ、遺書を書いた時もこの道を散歩しています。

田園は1808年に作曲し、第5楽章の構成になっています。ベートーヴェンが『田園』のサブタイトルを付け、それぞれの楽章に標題を付けた交響曲です。ベートーヴェンは「この交響曲第六番は絵画的な描写ではなく、田園での生活の感情を表現した」と語っています。

ベートーヴェンの第2楽章の感情は何を表現したかったのだろう?私はベートーヴェンの散歩道へ来るたびに想いを巡らせます。弦楽器で表現された小川の流れ、鳥達の木管楽器(フルートは鶯、クラリネットはかっこう、オーボエはうずら)で表現した交差する声の様子。。

華やかなウィーンの街並みからこの場所ベートーヴェンの散歩道に来ると、心が落ち着くというのでしょうか、とても清々しく、時間がゆっくり流れ始めます。ベートーヴェンは『ハイリゲンシュタット』を好み、何度もこの付近に住んでいます。

ベートーヴェンは自然のエネルギーは全ての問題、苦悩から解放し、穏やかな心の状態になると表現しているように思います。(他の意見がありましたら、どうぞ教えて下さい)

小川に沿って歩いていると、この付近に住んでいる方々が、可愛らしいお子さんや、犬と一緒に、時には、ご年配のご夫婦が手を繋いで散歩をしており、気軽にGrüß Gott』こんにちは、と声をかけて下さります。

日常から解放され、心安らぐこの場所は、個人的にとても好きな所で、プライベートでも散歩に行きますし、友人、知人がウィーンに来たときも、ホイリゲへ行く前に、このベートーヴェンガング(ベートーヴェンの散歩道)を案内します。

春には、小鳥合唱団の声が聴く事が出来ます。とても響いていて、素晴らしい歌声です。ここには小鳥達の食べ物が沢山あります。この声をベートーヴェンは耳ではなく、心の耳で聴いていたのでしょうね。

ベートーヴェンについてはこちらもご参照ください!

ベートーヴェンハウス バーデン『第九交響曲』を作曲した家
ベートーヴェンの遺書の家「Haus des Heiligenstädter Testaments
最初のベートーヴェンとシューベルトの墓地『シューベルトパーク』
ベートヴェンフリースとクリムトとベートヴェン!
ベートーヴェンの葬儀が行われたアルサー教会(三位一体教会)

コメント

  1. […] 散歩コースから数キロ離れた所にも僕のお気に入りの散歩コースがあるのですが、そこはオーストリアのウィーンにある『 ベートーヴェンの散歩道 』の景観や雰囲気に少し似ています。 […]

    • vienna-guide より:

      ブログをリンクして下さってありがとうございます。
      貴方様の内容の濃い、素敵なブログを拝見させて頂きました。

      メルケル首相のコロナ規制措置に対する演説をテレビで観ました時
      冒頭で

      Liebe Mitbürgerinnen, liebe Mitbürger

      『ドイツ国民の皆様』ではなく、『ドイツにお住いの皆様』と呼びかけた時から
      私も感動し、心が熱くなりました。

      人種に関係なく、
      ドイツに住んでいる人全員に、寄り添い、励ましながら、呼びかけた演説は、
      政治のトップに立つ方として相応しいだけでなく、温かい人間性を感じますね。

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