ロースドルフ城の悲劇と古伊万里

ロースドルフ城

ウィーンから北へ約75キロ、低地オーストリア州にたたずむ美しい古城ルースドルフ。お城の中はまるでタイムスリップしたかのように、歴史的な貴重な家具、調度品が展示されています。


このお城は中世に要塞として建てられましたが、幾度となく繰り返された戦争を経て建築物だけなく、歴史的な文化財も破壊された悲劇の物語があります。


1834年より城主であるピアッティ家は何代にもわたり磁器をコレクションし、それらの調度品は古城内を美しく飾っていました。しかし、第二次政界大戦終戦直後、ピアッティ一族が城を離れなければなった時、彼らは地下二階に全ての磁器を運び、壁を作って隠しました。



ところが隠された磁器はロシア軍に見つけられ、ほとんどが破壊されてしまったのです。
これは偶然見つけたのか、誰かが密告したのか分からないと現当主のガブリエル・ピアッティさんが話してくれました。

城へ戻ったピアッティ家は城内外に残された粉々になった磁器の破片を集め、それを破棄することなく、戦争がもたらした遺産として大切に保管し、一般公開をしています。下の写真は蓋だけ残った磁器です。



その破片の中には日本の古伊万里の磁器も多く存在していたことが日本のスペシャリストチームにより解明され、一部は修復されて日本でも「海を渡った古伊万里」として特別展示会が開催されました。



18世紀は東洋主義と呼ばれて、多くの貴族、皇族が東洋からくる磁器のコレクションに魅惑され収集しました。戦争がなければロースドルフ城には多くの時期が各部屋に飾られていたことでしょう。

ウイーンへいらしたときはロースドルフ城まで足を伸ばして見学されるのもよろしいかと思います。今年は四季を通じて、ロースドルフ城を皆様にご紹介して行く予定です。

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