日本の皆様にも人気がある皇后エリザベート(通称シシィ)については、本ブログにおいて何度かご紹介しております。19世紀末のオーストリア=ハンガリー帝国の皇后としてだけでなく、その美しさと魅力は、オーストリアにとどまらず、現在も世界中で美人の象徴的存在として高く評価されていますね。
女優ロミー・シュナイダー主演の映画「シシィ」が公開されてから、彼女が演じる愛らしいシシィのキャラクターが広く知れ渡りました。さらに近年においては、ミュージカル「エリザベート」によって、シシィのミステリアスで壮絶な人生がクローズアップされ、シシィファンがさらなる興味を寄せています。
しかしながら、シシィの生涯にはあまり知られていない側面が存在します。例えば皇帝フランツ・ヨーゼフの華やかな妻でありながら、彼女は困窮する人々を支援する遺言を遺していたのです。
今回はシシィの知られざる側面から、彼女の遺産の行方について書いていこうと思います。
シシィは遺言を残しており、「未来の愛する魂へ」と題されていました。そこには、彼女の日記はオーストリアではなく、スイス政府に60年間の開封禁止付きで預けるように書かれていました。
そして、売上から得た収益を「政治的な理由で困窮している子供達」使うように指示されています。スイス政府はオーストリア科学アカデミーから出版されている1890年代に書かれた日記の著作権料を、定期的に国連難民高等弁務官事務所(UNHCR)に定期的に寄付することに決定しました。2019年にはウクライナに住む約2600名の難民に寄付されています。その金額は1万5000ユーロです。
なぜ、シシィは慈善事業に力を注ごうと思ったのでしょうか。
15歳で皇室に嫁いでから彼女の人生は多くの悲しみと挑戦の連続でした。オーストリアの保守的で絶対君主制に批判的であり、子供たちの死を経験する中で、旅行と慈善活動に打ち込んで悲しみからの脱出口を見つけました。
シシの心配事の一つに、戦争で亡くなった父親のいる若い女の子の教育がありました。将来、世界情勢がもっと不安定になり、戦争が各国で勃発する事も予想していたのでしょう。これが、難民のために寄付するのがふさわしいと解釈されたと想定出来ます。
彼女の生前の願い通り、UNHCRによって、ウクライナに住む難民たちに言語コースや職業訓練が提供され、自立した生活を築く手助けが行われています。この遺産を受け継ぐ人々は、シシィが自分自身の幸福だけでなく他者の福祉にも心を向けた姿勢を尊重し、その精神を後世に引き継ぎたいと願っているそうです。
今日、シシの遺産による寄付は、彼女が予測した通り、幸福と平和を支える大切な手段となっています。どうですか❓この記事を読んでシシィの見方が変わりましたか❓
シシィの知られざる側面に関して、また近いうちにご案内いたしますね。
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