11月11日新種ワインの解禁日です!

オーストリアワイン

本日11月11日聖マルティン祭は新種ワインの解禁日です!。9月の初旬に収穫されたブドウがプレスされ、樽で発酵させたワインがついに開けられ、ワインの出来を確認します。

オーストリアで生産されたワインの約90パーセントがホイリゲワインとして生産され、地元の方々に飲まれます。『HEURIGE』ホイリゲとはドイツ語で『今年の』を意味し、オーストリアでは一年未満の新種ワイン新種のワインをもてなす洋風居酒屋の二つの意味を持ちます。

今回は新種のワインに関係するお話をご紹介したいと思います。

ホイリゲとは

ホイリゲの歴史は、220年以上前、1789年に遡ります。マリアテレージアの息子、ヨーゼフ二世の時代に、農民が直談判をして、直接自分達の軒先で300日間販売する許可を得たことが始まりです。それまでは、仲買人を通さなければワインは販売する事が出来ず、その上税金を納めた農民にとって、手間暇がかかるワイン業は非常に割が悪かったからです。

営業中を表すために、軒先にはアイゲンバウと言われる松の木を立てかけます。この松の木があれば、本日営業、新種のワインがありますよという印になります。

ワインを販売する際に、おつまみとして作り置きのもの、サラダやソーセージ、パンやなども販売出来ることとなりました。但し、レストランではないので、注文を受けてから料理をすることは禁止でしたが、現在はワインだけで営業するのが厳しい事もあり、レストランと兼業で営業しているホイリゲが増えてきてます

ホイリゲ料理とレストラン料理をもてなす違いは注文の取り方にあります。自慢の作り置きホイリゲ料理の注文は、ウィーンの場合(地域によって異ります)、基本ビュフェスタイルです。その場で食べたいものを選び、お金を支払って、自分でテーブルまで運んできます。ガラスケースに並ぶサラダ、肉料理など、美味しそうな食べ物がずらりと並び、あれもこれも試してくなってしまいます。

レストラン形式でメニューを見てテーブルで注文する場合は、お店の方がテーブルまで運んできてくれます。郷土料理がメインですので、ホイリゲワインを飲みながらシュニッツェル、グーラッシュなどを堪能出来ます。

ワインや飲み物はどのお店もテーブルにお店の方が注文を取りに行き、支払いもテーブルになります。

ホイリゲ文化は2019年よりユネスコ無形文化遺産に登録されました。家庭経営を引き継いだアットホームな雰囲気のホイリゲで、自慢のワインを頂きながら、ホイリゲの手料理を頂くのが世界遺産です。素敵ですね。

何故、聖マルティヌスの日にワインを解禁する?

ワインの守護聖人の中でも人気の聖人マルティヌスは、ワイン作りの先駆者だったと言われています。ある日、聖マルティヌスが連れてきたロバをブドウの木に繋いでおいたところ、ロバがブドウの葉を食べてしまったそうです。ところがそのブドウの木から、次の時期にはブドウがたわわになり、美味しいワインを作ることが出来ました。その経験から、聖マルティヌスは剪定法を工夫し、ブドウ栽培の技術進歩に大きな貢献をしたと言われています。

 
また、11月11日は、冬の始まりで、農民の収穫祭の日、使用人と小作人が来年の新しい契約を結ぶ日でとなりました。ワイン醸造業者はその年のワインの出来を確かめました。こうした理由から11月11日は新種のワインの解禁日となったと言われています。

 

オーストリアでは、聖マルティン祭の日に、家庭でGANSL(がちょう)料理を食べる習慣があります。郷土料理レストランでも、11月11日前後は、ガチョウ料理を提供している所が多いです。幼稚園や小学校の子供たちは、色とりどりの手作りランタンを作って、お祝いをします。つい最近までは、ランタンを持ったご近所の子供たちが家を訪れたときに、お菓子などを準備してあげていました。今年もコロナで来ないと思いますが、準備しておきました。ヨーロッパ版ハロウィンのようですね。

 

実は11月11日に冬の到来、秋の収穫を祝い、ガチョウを食べる習慣はケルト人文化に起源があります。彼らは冬になると、飼料代の節約から一対のガチョウを残して、後は食べてしまったそうです。キリスト教のお祝いは異宗教であるケルトのお祝いをドッキング(笑)させる事が多いです。聖マルティン祭の日は、彼の命日となっていますが。。。恐らく違います(キリストの誕生日が違うのと一緒)この件に関しましては、また別の機会にご紹介したいと思います。

ホイリゲワインと言えば、ウィーンはゲミシュターザッツ!

ホイリゲワインの特徴は、ビールジョッキ―のようなヘングルグラスで4分の1づつ豪快に飲むのがウィーン風です。テーブル、椅子が木の作りで、気取らない店構えで、ワイワイ、ガヤガヤおしゃべりしながら楽しく仲間や家族とワインを楽しみます。

ウィーンのワインは白の辛口が主流であり、ホイリゲワインというとゲミシュターザッツGEMISCHTER SATZワインが主流です。

ゲミシュターとは混ざるという意味で、最低3種類のブドウを同じ畑に同時に植えて、同じ時期に収穫したものを混ぜてワインを醸造します。この時も多いブドウでも50パーセントを超えない事、少なくても10パーセント以下にならない事等の条件があります。

2009年にはEUワイン法でゲミシュタ―ザッツワインはオーストリア独自ワインと認証されました。

 

さて、今年のワインの出来はいかがでしょうか。楽しみですね。

 

 

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